眠っている愛犬がピクピクと痙攣のような動きを初めて見た時、病気!?と心配になった経験を持つ飼い主さんも多いと思います。
ピクピクしている状態を放っておいて良いのか、起こした方が良いのか、また健康上の問題はないのでしょうか?そして、危険な痙攣とはどんな状態でしょうか。今回は睡眠中の痙攣と痙攣発作についてお話したいと思います。

子犬が睡眠中にピクピクと動く理由
ピクピクする原因
パピー期や人間の幼少期には睡眠中の痙攣が多く見られます。これは日中に受けた刺激を脳内で整理しているという説があります。まだ正確に解明されていない部分も多いのですが、特に子犬は昼間の生活でトレーニングをしたり覚える事がたくさんあります。初めての出来事で刺激を受けると、睡眠中に脳を整理して消化しようとし、体がピクピク動く事が多いようです。
また成長を促進する為に睡眠中にも脳から絶えず信号が送られ、神経回路を刺激し続けています。これは成長期の証とも言えますが、この時の眠りの妨げがストレスとなってしまう場合があります。
ピクピクしている時の注意点
初めての体験やトレーニングなどで、脳に刺激を受ける事は、心身ともに大変疲労します。ストレスを軽減させる為にも、パピー期から安心して過ごせる寝床を確保してあげましょう。
成犬が睡眠中にピクピクと動く理由
ピクピクする原因
パピー期と比較すると頻度は少なくなりますが、成犬も睡眠中にピクピクと動く時があります。これは睡眠中の頭の中での出来事、夢が関係していると言われていますが、果たして犬や他の動物の場合は夢を見ているのでしょうか。
言葉を話す事が出来ない犬からは、確かな答えを得る事が出来ません。でも、人と同じ睡眠サイクルを持つ事や、睡眠中に脳活動をする事から夢を見ていると考えられています。ピクピクする他に睡眠中に脚をバタつかせたり、寝言のようにゴニョゴニョ言ったり、突然ワンッ!と吠えたりする犬も多くいます。
睡眠の種類
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠という異なる二つの睡眠状態があります。人の場合、眠りの浅いレム睡眠の時に夢を見るため、犬の場合も同様の可能性が高いと考えられます。
<レム睡眠>
体は寝ていても脳は起きている状態
犬の場合、睡眠時間の8割がレム睡眠と言われている
<ノンレム睡眠>
体も脳も完全に寝ている深い眠りの状態
ピクピクしている時の注意点
夢を見ているであろう、眠りの浅いレム睡眠中に、体に触れたり声を掛けたりすると驚いてパッっと目を覚まします。どうしても飼い主さんが心配な場合のみ、優しく声を掛けて起こしてみて下さい。基本的には無理に起こさずそっと眠らせてあげましょう。
しかし、通常より酷いイビキをかく、睡眠中にしては繰り返し激しく動くなどをしている場合は、気管や脳の疾患の恐れがあります。気になる場合は獣医師へ相談して下さい。
睡眠中に唸るのはストレス?
穏やかに眠っていると思ったら、突然唸ったり吠えたりするとストレスなのでは?と心配してしまいます。唸っている声が起きている時と違うように聞こえるのは、口を開けていないからですし、特にストレスが原因ではありません。寝言や唸る事よりも、途中で起こすなど眠りを妨げる行為の方がストレスとなります。
注意した方が良い痙攣
短時間であれば問題はない痙攣も、過度な場合は注意しましょう。先にあげたような生理現象の震えと痙攣発作の判別の仕方や、痙攣発作が起きた場合の対処方法を予め知っておく事で、飼い主さんのパニックも緩和されるでしょう。
ミオクロニー痙攣
ピクピクと動くこの現象は「ミオクロニー」と呼ばれています。自分の意思とは無関係に起こる不随意運動のことを指します。短い痙攣は正常の反応なので心配はありません。人もウトウトと寝入ろうとした時、ビクッとして目が覚めることがあります。これは入眠期ミオクローヌスという生理的な現象です。
健康状態に問題の無い犬や人にも起こる痙攣です。睡眠中の犬でも30秒未満であれば問題はありません。特に対処はせずそっとしておいて平気です。
犬の痙攣発作とは
犬の痙攣発作は下記のような症状があらわれます。全てが当てはまる訳ではなく、個体差もあります。
<注意すべき震えの症状>
- 30秒以上痙攣が続く
- 痙攣が睡眠を妨げるほど頻発している
- 起きている時に痙攣が頻発している
- 身体を反るように激しい痙攣
- 身体の筋肉が硬直している
- 呼吸が乱れ、激しくなる
- 尿が漏れる
- 口から泡をふいている
- 声をかけても反応がない
- 起きた時に錯乱している
これらの発作が繰り返すような場合は、獣医師へ相談しましょう。また、痙攣が3分以上続く、意識がないなどの重篤な症状が見られた場合は、早急に動物病院へ行って下さい。その際は、予め電話をして様子を伝えて下さい。痙攣発作の動画を撮っておくと受診時にスムーズに様子を伝える事が出来ます。
<痙攣発作の緊急な症状>
- 群発発作:一日に発作が2回以上、何度も起こる場合
- 重責発作:発作の時間が5分以上続く場合、または一度目の発作が治まった後、意識が戻らないまま再び発作が起こる
上記の場合は、痙攣発作の緊急事態ですので、早急に動物病院へ行きましょう。
痙攣発作が起きた時の対処
痙攣発作とは突然死などを引き起こすような病気ではありません。飼い主さんは落ち着いて適切な対処をしましょう。
<飼い主さんのすべき事>
- 慌てない
- 痙攣している時間を計る
- 痙攣の状態を撮影する
- 口の周りを触らない
- 壁や固いものにぶつからないようにする
- 階段や段差などからの転落に注意する
- 痙攣が止まった後の様子をよく見ておく
<飼い主さんのNG行動>
- 痙攣を止めようと押さえつける
- 抱っこする
- 大きな声で叫ぶ、名前を呼ぶ
- 口にタオルを挟むなど口元を触る
慌てず焦らず、とにかく落ち着きましょう。一般的に痙攣発作は過剰な興奮状態の為、止めようと押さえる、必死に呼びかけるなどをしても効果はありません。また、抱っこは手を噛まれる、腕から転落してしまうなど非常に危険です。最も重要なのは、痙攣中の犬が転落したりぶつかったりして、怪我をしないよう見守る事です。そして、痙攣が落ち着いた後の愛犬の様子も冷静に見て下さい。いつも通りに戻っているのであれば、救急を使う必要はありません。
痙攣発作が起きた時の確認事項
痙攣発作は発作時から経過を記録することが非常に役立ちます。はじめての痙攣発作では難しいと思いますが、覚えている範囲で記録しておきましょう。
<痙攣発作のチェック事項>
- 発作を起こした日時
- 発作を起こした状況(場所、行動など)
- 何回目の発作なのか
- 発作がどれくらい続いたか(出来るだけ詳しく)
- 発作の箇所(部分的か全身か)
- 意識の有無
- よだれの有無
- 発作が治まった後の様子
痙攣発作には様々なタイプがあります。動物病院での受診の際、口頭では十分に伝わり辛い事があります。動画であれば口頭での説明よりも、分かりやすく伝わります。発作時は愛犬の安全に注意しながら、動画で記録するようにしましょう。

まとめ
愛犬が眠っている時に白目をむいたり、寝言を言ったり、脚をパタパタさせ走っているような様は、微笑ましく愛おしい気持ちになりますよね。思わず抱きしめたくなってしまう衝動に駆られますが、脳内を整理している場合がありますので、そっと見守ってあげましょう。
もし、愛犬の様子に心配な面がある場合は動画やメモを残し、異変を感じたら獣医師に相談できるよう、万が一の時に備えておきましょう。
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