脳炎について(パート1)

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こんにちは。アンベルソのライターの蓮です。今回は犬の病気「脳炎」についてを2回に分けてご紹介します。

パート2はこちら >

はじめに

我が家で暮らしている現在10歳のトイプードル(メス)は、8歳11ヶ月の時に特発性の脳炎、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)と診断されました。

この病気は、発症原因がはっきりしていません。

診断されるまで時間も掛かりますが、早期発見、治療をすることで命を救うことができる可能性がある病気です。

ただし、時間の経過とともに悪化すると命に関わる怖い病気です。

まだ、治療方法がわからない頃は、安楽死を宣告されるような病気でした。

この病気は、飼主に少しでも知識があるだけで素早い判断や行動に移すことで助かる命も多くあります。

もし、愛犬の様子がいつもと違うと思った時に、脳炎の症状にあてはまるものがあれば即病院での判断を仰いでください。

では、脳炎とはどういうものなのか?ご紹介します。

 

脳炎とはどういうものなのか?

脳炎には、感染症のものと非感染症のものがあります。

  • 感染症
    • 細菌感染によるもの。真菌やウィルス、寄生虫、原虫、異物などの様々な病原体に感染することで脳炎を発症します。
  • 非感染症
    • 特発性(原因不明)によるもの。自己免疫が突如、脳を攻撃し始めることで脳炎を発症します。

 

非感染症脳炎の主な種類

壊死性髄膜脳炎(NME)

かつてはパグだけに発症する病気のためパグ脳炎と呼ばれていました。

しかし、他の犬種でも発症しています。大脳皮質あるいは皮髄境界部の血管周囲に炎症
が生じ炎症が拡大慢性化するに伴い、大脳皮質皮質下白質に軟化壊死巣が形成されていきます。

壊死性灰白質性脳炎(SRMA)

犬種はほぼ2キロ以下のヨークシャーテリアとチワワでの発生率が高いとされ年齢的
には若齢から中齢に多くみられます。

壊死性白質脳炎では白質、特に深部白質や視床や脳幹などの深部灰白質に病巣を形成
するのが特徴的です。

肉芽腫性髄膜脳炎(GME)

小型犬~中型犬と幅広く年齢の関係性もなく発生する可能性があります。

大脳白質や脳幹に中心となる病変があるので異常や四肢の部分的な麻痺(不全麻痺)が
主要な臨床症状となる事が多いとされています。

 

 

脳炎の主な症状

  • ボーっとしていることが多い(目が虚ろ)
  • 歩行時にふらつき
  • 身体の麻痺
  • 身体の痙攣
  • 視力低下
  • 元気がない

いつもと違う感じの表情だったり、歩き方が左右に揺れていることが続いたり、同じところをクルクル何度も回ったり、物によくぶつかったり、身体が震え、痙攣や麻痺の症状がみられた時は即病院での判断を仰いでください。

 

もし脳炎の症状がみられたら

まずは、大学病院などの高度医療施設で扱っているMRIでの画像判断や脳脊髄炎検査によって脳炎の種類や感染症の有無を判断します。

この脳炎の判断は、一般の動物病院では難しいため必ずMRIを扱っている高度医療施設での受診が必要となります。

検査費用については、施設によって異なりますがMRIでの検査費と脳脊髄炎検査、その他の費用を合わせて約10万程度と高価なものとなります。

また、高度医療施設では検査後、一般の動物病院と連携し、審査結果の報告や治療方法の確認を行います。

 

脳炎の治療方法

外科的な治療方法ではなく、内科的な治療方法になります。脳炎は、原因不明のことが多く、免疫抑制療法による治療を行います。

主にプレドニゾロン(ステロイド剤)の利用が多いですが、その他、免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸モチフェル、レフルノミド)、抗がん剤(サイクロフォスファミド、シタラビン、ロムスチン、ビンクリスチン)を利用した治療方法となります。

主治医の考え方や症状にもよりますが、基本的にはプレドニゾロンを服用することが多く、症状や個体差によって服用する量が異なります。プレドニゾロンを利用するメリットは即効性があること、デメリットは副作用が多いことが挙げられます。プレドニゾロンは免疫抑制剤と併用して服用することが多いです。

また、抗がん剤を服用する治療方法もありますが、メリットはプレドニゾロンの副作用に比べて影響が少ないと言われていますが、デメリットは動物病院まで抗がん剤の投与を決まった期間に行う必要があるということです。また抗がん剤に副作用がないというわけではありませんので症状や主治医の考え方によってどちらを利用するかは相談が必要です。

 

プレドニゾ服用や抗がん剤投与のタイミング

プレドニゾロンは朝晩の服用になります。また、免疫抑制剤は、食前後2時間を空けての服用になります。

抗がん剤治療は、動物病院へ決まった期間内に通院した上での投与になります。また、プレドニゾロンの服用も同時に行いますが、抗がん剤を投与している分、プレドニゾロンを服用する量は少量で対応可能になります。

 

治療費について

プレドニゾロンは、安価で即刻性もありますが、副作用が多いことが悩みの種になります。また、免疫抑制剤はプレドニゾロンと比較すると高価で副作用は少ないものとなります。

抗がん剤治療は、免疫抑制剤を利用せず、プレドニゾロンと併用して利用します。

プレドニゾロンplus免疫抑制剤での服用と、抗がん剤plusプレドニゾロンでの服用の治療費については、ほぼ変わらないようです。

 

プレドニゾロンの副作用について

プレドニゾロンを長期間服用すると副作用が現れることが多くなります。

  • 毛量減少
  • 食欲が増す
  • 水をよく飲む
  • おしっこの量が増える
  • 感染症(傷が化膿しやすいなど)
  • 肥満
  • 筋肉の低下
  • 皮膚が薄くなる
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胃腸障害(嘔吐、下痢)
  • 肝障害
  • 副腎の機能低下(医原性クッシング症候群)
  • 糖尿病
  • アジソン病

脳炎の治療を優先するとプレドニゾロンを長期間服用することが多くなります。よって副作用もそれぞれの個体差によりますが、症状が現れます。

 

定期的な血液検査

脳炎の症状についても確認が必要になりますが、どちらかといえばプレドニゾロンを服用した副作用の影響を確認する必要があるため定期検査が必要となります。

 

次回は、実体験を踏まえて紹介します。

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ライタープロフィール

蓮(レン)と申します。2年前までは三匹のメストイプードルと暮らしていました。9歳で糖尿病を患い、虹の橋を渡ってしまいました。現在は、11歳の腰痛持ちトイプードルと、10歳の脳炎療養中トイプードルと暮らしています。日々の暮らしの中で、我が家のトイプードルたちと楽しく暮らせるよう飼主として精進しています。

 

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アンベルソ
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