シニア犬の食事

Posted by

若々しかった愛犬も成長を重ねて、一緒に過ごした思い出も増え、やがてシニア期に入ります。シニア期に入ると様々な変化が見られますが、食欲や食事内容もその一つです。年齢や体調に合った食事とはどんなものか考えてみましょう。

段階的に分かれるシニア期

シニア期と呼ばれる7歳以降は段階的に分けられます。

●シニア初期

まだ成犬の頃と変わらぬ生活が出来ているが、被毛に若干白髪が混じり、色素が薄くなり始めます。食欲も変化は見られませんが、少しずつシニアケアを導入しましょう。見た目には変化はなくても体内では代謝が落ちていますので、肥満に注意が必要です。

●シニア中期

見た目や行動に変化が見られる頃。被毛に白髪がさらに増え、毛艶もなくなります。また皮膚バリアなどの低下から、イボが増えることもあります。眼は白く濁り、視力が衰えてきます。体の特徴としては筋力の低下から疲れやすくなり、散歩の時間が減るでしょう。食事の嗜好に変化が大きく見られる場合も。

シニア後期

日常的に介護が必要になる頃。臭覚の衰えから、食欲が落ちて体重が減りやすくなります。シニア期がさらに進むと、食べ物を飲み込みづらくなったり、自力での食事が難しくなってきます。

一般的に小型中型犬は12~13歳、中型犬は10~12歳、大型犬は8~10歳くらいがシニア後期に該当します。

シニア期の食事で注意したいこと

人間の老化現象に個人差があるのと同じように、犬も個体差があります。単に年齢ではなく、犬種や生活環境や習慣が影響として出ます。毎日の食事が体に負担とならないよう、愛犬に適した食事を提供してあげましょう。

●肥満

シニア初期~中期くらいは、まだまだ元気もあるので、飼い主さんは高齢という実感はあまりないと思います。とは言え、基礎代謝は年々落ちているので成犬の時と同じ食事を与えていると、あっという間に肥満になる恐れがあります。肥満は心臓への負担はもちろん、腰や関節へも悪影響を及ぼすので注意して下さい。

●食欲不振

11歳以降になると、食欲が落ちるワンちゃんも少なくはありません。味覚の変化や臭覚の低下により食欲が減少したり、歯が弱くなることから食事が億劫になってしまいます。また、病気などの異常がなくても胃腸の消化・吸収機能も衰えるため、自然と痩せていく場合もあります。

●摂水量の不足

シニア期は成犬の頃に比べて、水を飲む量が減っていきます。これは喉が乾く感覚の低下からと言われています。その為、飼い主さんの思わぬところで脱水症状を起こす可能性があります。脱水症状は心臓に大きな負担がかかり、体温調節が出来なくなる為、非常に危険です。

生きていくために必須な水

犬の身体の70%は水分で出来ていると言われています。動物も人間も水なしでは生きていけません。具体的に1日の必要な水分量は、犬の体重1Kgあたり60ml以上で、夏はこれ以上の水分量が必要となります。例えば5Kgのワンちゃんなら1日に300ml必要になります。

人間は年をとると、体内に水分をあまり貯めておくことが出来なくなります。そして喉の渇きを感じづらくなる為、若い時に比べて水分を積極的に取らなくなります。これは犬も全く同じことが当てはまります。水分が不足していると、以下のような症状が出る恐れがあります。

  • 脱水症状
  • 老廃物が排出されない
  • 腎臓の病気や結石の恐れ
  • 膀胱炎

健康な犬の場合尿の色は薄黄色ですが、水分の摂取が少ないと濃い黄色の尿が排出されます。気になる場合、愛犬が1日にどれくらいの水を飲んでいるのか計量してみましょう。

積極的に水分をとるには

普段、ドライフードを食べている場合、自然と水分量は少なくなってしまいます。お湯でふやかす、塩分の入っていない肉の茹で汁をかけてあげることで、食事で水分の摂取を増やすことが出来ます。また、おやつも果物や茹でささみなどを与えることによって、飲水以外からも水分がとれます。

但し、ドライフードに比べて歯に食べカスが付着する可能性が高くなります。歯磨きケアも同時に施してあげましょう。歯ブラシやガーゼなどで拭いてあげるだけでも違います。また、食後に水を飲むようであれば食べカスを流すことも出来るので非常に理想的です。

シニア期の食事の回数

とくにシニア後期になると食欲に変化が表れます。食事を残すようになったり、消化機能の衰えから、排出にも影響が出ることもあります。成犬の頃のように、食欲旺盛で状態の良い排泄と体重を維持することが出来れば、今すぐに変える必要はありません。

食欲が目に見えて変化を感じた時は、食事の内容はもちろん回数も検討しましょう。食べ終わるまで…とお皿を置きっぱなしでダラダラ食べさせるのは、衛生上を考えても良いとは言えません。一度の食事を減らすのではなく、回数を増やす方法もあります。1日の食事量を3回~4回に分けて与えることで、消化機能を助けることが出来ます。

シニア期に適した食事とは

シニア期は初期・中期・後期によって食事の傾向は変化します。また、生活習慣や個体差から同じ年齢でも老化も進行にはバラつきがあります。それぞれのシニア期に必要な栄養素をカバーできる食事を与えるようにしましょう。

シニア期の犬は水分の摂取量が減少する傾向にある為、便秘の恐れもあります。適度な運動はもちろん、食物繊維を摂取することで症状が改善されます。

また体を作る栄養素として必要不可欠なたんぱく質は植物性ではなく、良質な動物性たんぱく質を摂取するよう心がけましょう。また、加齢に伴って、関節の状態が弱くなってしまいます。グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリなどで栄養素をプラスすることも有効です。

<シニア期に積極的に取り入れたい栄養>

  • 良質な動物性たんぱく質
  • 必須不飽和脂肪酸(オメガ脂肪酸など)
  • 腸内環境を整える栄養素(プロバイオティクス)
  • グルコサミン・コンドロイチン

どの栄養素も必要不可欠ですが、病気などで食事制限や投薬治療をしている場合は医師と相談の上、与えるようにして下さい。

愛犬の食欲が落ちた時は嗜好性を高める

愛犬の食欲が落ちた時、また一日の食事量が少なくなってしまった時、嗜好性を高めることで改善が期待出来ます。嗜好とは食べ物の好みのことを主にさします。犬の嗜好性を左右するポイントは、におい、噛み応え、舌触り、水分量などがあげられます。

●温める

フードを温めることにより、常温の状態よりも匂いが立ちます。臭覚が衰えてしまったシニア期には、匂いを感じやすくすることで食欲が増長されます。レンジや湯煎などで人肌程度に加熱するほか、ドライフードであれば、ぬるま湯や茹で汁をかけて雑炊のようにするのも効果的です。

●好物をトッピングする

シニア向けのフードは飽きたり好まなかったり、食いつきが良くない場合があります。その時は、茹でたささみやサツマイモなど、好みの食材をトッピングしてあげると良いでしょう。

●ウェットフードにする

多くの場合、ドライフードよりも缶詰やパウチタイプのウェットフードを好みます。人間もバータイプの栄養補助食品よりも、お弁当の方が満足感は高いはずです。ウェットフードは脂肪分もありますので、食欲が増長されます。ドライフードと半量ずつ混ぜる、ぬるま湯や茹で汁をかけるなど、愛犬の好みを色々試して見ましょう。ただし、脂肪分を過度に摂取すると、下痢になる場合がありますので注意して下さい。

犬の味覚とは

味は人間の嗜好性の中で非常に重要です。しかし、犬にとってはさほど重要視されないのかもしれません。

人間も犬も、舌の上に味蕾(みらい)という味を感じる細胞が無数にあります。しかし、その数は人間の場合約1万個、犬はその1/5程度の約2千個しかないと言われています。犬にとって味よりも、匂いを強く感じることの方が食欲に直結するようです。

そして、犬は味覚の中でも甘いものを強く感じる為、サツマイモやバナナを好みます。高カロリーな食材でもある為、与えすぎには注意しましょう。

食べるときの姿勢

シニア期の後期は、特に飲み込む力が弱くなります。床に直接食器を置いて食べていた場合、見直しを検討しましょう。台などに置いて、頭が下がらないよう、少し高めの位置にすると飲み込みやすくなります。

寝たきりの場合、横になったままの食事は、喉に詰まってしまう危険があります。クッションなどで頭を高くして、上半身を起こすようにしましょう。

まとめ

若く元気だった愛犬が、年老いていく姿は少し寂しい気もしますね。しかし、それぞれのライフステージで適した食生活をすることは、健康にも繋がります。とくに気にかけていなかった場合は、愛犬と長く一緒にいられるよう、食事の質を見直しましょう。

+過去のコラムを見る